学研全訳古語辞典 |
こす
《接続》動詞の連用形に付く。
活用{こせ/○/こす/○/○/こせ・こそ}
〔希望〕…してほしい。…してくれ。
出典後撰集 秋上
「ゆく蛍雲の上まで往(い)ぬべくは秋風吹くと雁(かり)に告げこせ」
[訳] ⇒ゆくほたる…。
語法
未然形の「こせ」と終止形の「こす」は次の形で用いられる。
参考
(1)主に上代に用いられ、時に中古の和歌に見られる。(2)相手に望む願望の終助詞「こそ」を、この「こす」の命令形とする説がある。⇒こせぬかも
こ・す 【越す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
越える。
出典万葉集 一三九七
「荒磯(ありそ)こす波はかしこし」
[訳] 波の荒い磯(いそ)を越える波は恐ろしい。
②
行く。来る。
出典唐糸さうし 御伽
「御身(おんみ)たちは鎌倉へこすべきなり」
[訳] あなた方は鎌倉へ行くのがよいのだ。
③
追い越す。
出典宇津保物語 忠こそ
「多くのついでをこしてこそ、大臣の位にはなしつれ」
[訳] 多くの順序を追い越して、大臣の位につけたのだ。
④
(基準を)超過する。上回る。
出典平家物語 一〇・藤戸
「鞍壺(くらつぼ)こす所もあり」
[訳] (海水の深さが)馬にのった人の腰の下あたりを上回る所もある。
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