学研全訳古語辞典 |
ふ・く 【吹く】
活用{か/き/く/く/け/け}
風が吹く。
活用{か/き/く/く/け/け}
①
息を吹き出す。
出典万葉集 三七九一・題詞
「この燭(そく)の火をふけ」
[訳] このたき火の火を吹きつけよ。
②
勢いよく出す。
出典万葉集 八九二
「かまどには火気(ほけ)ふき立てず」
[訳] ⇒かぜまじり…。
③
(管楽器を)吹き鳴らす。
出典落窪物語 四
「笙(さう)の笛ふかせ給(たま)ふ時」
[訳] 笙(しよう)の笛を吹き鳴らしなさるときに。
④
(鉱石から金属を)溶かし分ける。精錬する。
出典万葉集 三五六〇
「真金(まかね)ふく丹生(にふ)の真朱(まそほ)の」
[訳] 金を精錬する丹生(にゆう)(=地名)の赤土のように。
ふ・く 【更く】
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
時がたち、季節が深まる。たけなわになる。
出典新古今集 秋下
「秋ふけぬ鳴けや霜夜のきりぎりす」
[訳] 秋がたけなわになった。鳴きなさい。霜の(降る)夜のこおろぎよ。
②
更ける。夜が深くなる。
出典源氏物語 桐壺
「月のおもしろきに、夜ふくるまで遊びをぞし給(たま)ふなる」
[訳] 月が美しいので、夜が更けるまで音楽の催しをなさっているようだ。
③
年をとる。老いる。
出典拾遺集 雑上
「わが世のいたくふけにけるかな」
[訳] 私はひどく年をとってしまったことよ。
ふく 【福】
①
さいわい。幸福。幸運。
②
神仏に供えた物のお下がり。
裕福だ。
出典傾城禁短気 浮世
「お前ほどのふくな旦那(だんな)を」
[訳] あなたほどの裕福なだんなを。
ふ・く 【葺く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
(板・瓦(かわら)・檜皮(ひわだ)・かやなどで)屋根を覆う。
②
草木などを軒端(のきば)に挿して飾る。
出典徒然草 一九
「五月(さつき)、あやめふくころ、早苗とるころ」
[訳] 五月の、菖蒲(しようぶ)を軒に挿すころ、早苗をと(って田植えをす)るころ。
ふくのページへのリンク |