学研全訳古語辞典 |
おほ-ぬさ 【大幣】
①
大串(おおぐし)に付けた「幣(ぬさ)」。「祓(はら)へ」に用い、終了後、人々がこれを引き寄せて体をなで、罪やけがれを移して川や海に流した。
出典古今集 恋四
「おほぬさの引く手あまたになりぬれば思へどえこそ頼まざりけれ」
[訳] (あなたは)大幣のように(女たちから)引っ張りだこになっているから(私が)恋しく思ったところで頼りにできないことだなあ。
②
引く手あまた。引っ張りだこ。多情。移り気。▽①の用例の和歌から生じた比喩(ひゆ)。
出典大和物語 一六〇
「おほぬさになりぬるひとのかなしきは」
[訳] 引っ張りだこになったあなたが気の毒なのは。◆①の用例の和歌は『伊勢(いせ)物語』四十七段にも見える。⇒ぬさ
大幣のページへのリンク |