学研全訳古語辞典 |
あさま・し
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
驚くばかりだ。意外だ。
出典十訓抄 三
「思はずにあさましくて、『こはいかに、かかるやうやはある』とばかり言ひて」
[訳] 思いがけず驚くばかりで、「これはどうしたことか、こんなことがあるだろうか、いや、あるはずがない」とだけ言って。
②
情けない。興ざめだ。
出典枕草子 ふと心おとりとかするものは
「わがもてつけたるをつつみなく言ひたるは、あさましきわざなり」
[訳] 自分が使い慣れている言葉を遠慮なく言うのは、情けないものである。
③
あきれるほどひどい。
出典方丈記
「二年が間、世の中飢渇(けかつ)して、あさましきこと侍(はべ)りき」
[訳] 二年の間、世の中は食糧が欠乏して、あきれるほどひどいことがございました。
④
見苦しい。みっともない。
出典徒然草 一五二
「むく犬の、あさましく老いさらぼひて、毛はげたるを引かせて」
[訳] むく犬で、みっともなく年老いてよぼよぼになって、毛が抜け落ちているのを(従者に)引かせて。
参考
現代語の「あさましい」のもとになる語。現代語では悪い意味にしか使わないが、古語では良い意味にも悪い意味にも驚きあきれたときに使う。
あさましのページへのリンク |