学研全訳古語辞典 |
なほ 【猶・尚】
①
依然として。相変わらず。やはり。
出典土佐日記 二・四
「なほ、同じ所に日を経(ふ)ることを嘆きて」
[訳] 依然として、同じ所に(とどまって)日を送ることを嘆いて。
②
何といっても(やはり)。それでもやはり。
出典枕草子 草の花は
「されど、なほ夕顔といふ名ばかりはをかし」
[訳] しかし、何といってもやはり夕顔という名前だけは興味深い。
③
さらにいっそう。ますます。
出典土佐日記 二・一六
「かかるうちに、なほ悲しきにたへずして」
[訳] こうした(騒ぎの)中で、さらにいっそう悲しさにこらえきれないで。
④
ふたたび。やはりまた。
出典方丈記
「同じき年の冬、なほこの京に帰り給(たま)ひにき」
[訳] (天皇は)同年の冬にふたたび平安京にお帰りになった。
なほ 【直】
まっすぐであること。偽りのないこと。
なほ 【直】
①
そのまま。何もしないで。
出典土佐日記 一・四
「かうやうに物持(も)て来る人に、なほしもえあらで」
[訳] このように贈り物を持って来る人に、(お返しもしないで)そのままにしてはおけないので。
②
何ということもなく。平凡に。
出典伊勢物語 三九
「天(あめ)の下の色好みの歌にてはなほぞありける」
[訳] 天下(に評判)の色事好きの人の歌としては平凡であったよ。
なほのページへのリンク |