学研全訳古語辞典 |
だに
《接続》体言、活用語の連体形、助詞などに付く。
①
〔最小限の限度〕せめて…だけでも。せめて…なりとも。▽命令・願望・意志などの表現を伴って。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「昇らむをだに見送り給(たま)へ」
[訳] せめて昇天していこうとするのだけでもお見送りください。
②
〔ある事物・状態を取り立てて強調し、他を当然のこととして暗示、または類推させる〕…だって。…でさえ。…すら。▽下に打消の語を伴って。
出典枕草子 木の花は
「梨(なし)の花、よにすさまじきものにして、近うもてなさず、はかなき文(ふみ)つけなどだにせず」
[訳] 梨の花は、まったくおもしろみのないものとして、身近には取り扱わず、ちょっとした手紙を結びつけることなどさえしない。
参考
②の「…さえ」の意味は、上代は「すら」が、中古は「だに」が、中世は「さへ」が表す。⇒さへ
だにのページへのリンク |