学研全訳古語辞典 |
せ・む 【迫む・逼む・攻む】
活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}
近づき迫(せま)る。差し迫る。おしつまる。
出典宇治拾遺 三・六
「家の隣より火いできて、風押し覆ひてせめければ」
[訳] 家の隣(の家)から出火して、風が(その火を)おおいかぶせて差し迫ってきたので。
活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}
①
追いつめる。押し寄せて戦う。攻撃する。
出典徒然草 五九
「無常の来たることは、水火のせむるよりも速やかに、のがれがたきものを」
[訳] 死の到来することは、水や火が押し寄せてくるのよりも速くて、逃げられないものなのに。
②
ぴったりと身につける。
出典平家物語 二・教訓状
「黒糸縅(くろいとをどし)の腹巻の、白金物(しろがなもの)打ったる胸板せめて」
[訳] 黒糸で縅した腹巻で、銀の金具を打ってある胸板をぴったりと身につけて。
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