学研全訳古語辞典 |
す・ぐ 【挿ぐ】
活用{げ/げ/ぐ/ぐる/ぐれ/げよ}
①
(糸・紐(ひも)などを)穴に差し通して付ける。すげる。
出典枕草子 心もとなきもの
「なま暗うて針に糸すぐる」
[訳] 薄暗い中で針の穴に糸を通すの(はもどかしい)。
②
あけた穴にはめ込む。さし込む。
出典宇治拾遺 一二・一九
「矢に錐(きり)のやうなる鏃(やじり)をすげて」
[訳] 矢にきりのようなやじりをさし込んで。
す・ぐ 【過ぐ】
活用{ぎ/ぎ/ぐ/ぐる/ぐれ/ぎよ}
①
通り過ぎる。通過する。過ぎる。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「呼びわづらひて、笛をいとをかしく吹き澄まして、すぎぬなり」
[訳] (車の主は)呼びあぐねて、笛をたいそう見事に一心に吹いて、通り過ぎて行ってしまうようだ。
②
時がたつ。経過する。過ぎる。
出典新古今集 夏
「春すぎて夏来(き)にけらし白妙(しろたへ)の衣(ころも)干すてふ天(あま)の香具山(かぐやま)」
[訳] ⇒はるすぎてなつきにけらし…。
③
消え失せる。人が死ぬ。
出典万葉集 二〇七
「沖つ藻(も)のなびきし妹(いも)は黄葉(もみちば)のすぎて去(い)にきと玉梓(たまづさ)の使ひの言へば」
[訳] ⇒あまとぶや…。
④
超過する。過ぎる。
出典伊勢物語 二三
「筒井(つつゐ)つの井筒にかけしまろが丈(たけ)すぎにけらしな妹(いも)見ざるまに」
[訳] ⇒つつゐつの…。
⑤
まさる。以上である。
出典徒然草 五二
「聞きしにもすぎて、尊くこそおはしけれ」
[訳] 聞いていたのにもまさって、けだかくいらっしゃった。
⑥
暮らす。生活する。
出典宇治拾遺 一・三
「人に交じるに及ばねば、薪を採りて世をすぐるに」
[訳] 世間とつきあうことができないので、薪を採って生活していくうちに。
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