学研全訳古語辞典 |
いや・し 【卑し・賤し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
身分が低い。地位が低い。
出典方丈記
「たましきの都のうちに、棟を並べ甍(いらか)を争へる、高きいやしき人のすまひは」
[訳] 玉を敷いたように美しくりっぱな都の中に、棟を並べ屋根の高さを競っている、身分が高い人や身分が低い人の住居は。
②
粗末である。みすぼらしい。
出典徒然草 二二〇
「何事も辺土はいやしく、かたくななれど」
[訳] 何事につけても片いなかは粗末で、粗野であるけれども。
③
けちだ。さもしい。いじきたない。
出典枕草子 関白殿、二月二十一日に
「いかにいやしく物惜しみせさせ給(たま)ふ宮とて」
[訳] どんなにさもしく物惜しみをなさる宮だといって。
④
下品だ。
出典枕草子 ふと心おとりとかするものは
「ただ文字一つに、あてにもいやしうもなるは、いかなるにかあらむ」
[訳] ほんの言葉づかい一つで、上品にも下品にもなるのは、どういうわけだろうか。◇「いやしう」はウ音便。
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