学研全訳古語辞典 |
はした-な・し 【端なし】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
不似合いだ。どっちつかずで落ち着かない。中途半端だ。
出典伊勢物語 一
「思ほえず、古里(ふるさと)にいとはしたなくてありければ」
[訳] 思いがけなく、(さびれた)旧都にたいそう不似合いに(美しい姉妹が)住んでいたので。
②
きまりが悪い。体裁が悪い。
出典枕草子 はしたなきもの
「げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつといで来(こ)ぬ、いとはしたなし」
[訳] なるほどたいそう哀れなことだと(思って話を)聞いているのに、涙がすぐに出て来ないのは、ほんとうにきまりが悪い。
③
そっけない。無愛想だ。
出典源氏物語 宿木
「心許さざらむ人のためには、はしたなくもてなし給(たま)ひつべくこそものし給ふめるを」
[訳] 心を許していないような人に対しては、そっけなく扱っておしまいになるようにしていらっしゃるようであるのを。
④
激しい。甚だしい。
出典宇治拾遺 一・三
「雨風はしたなくて、帰るに及ばで、山の中に、心にもあらずとまりぬ」
[訳] 雨風が激しくて、帰ることができず、山の中に、思いがけなく泊まってしまった。
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