学研全訳古語辞典 |
かれ 【彼】
①
あれ。あのもの。▽遠称の指示代名詞。
出典伊勢物語 六
「『かれは何ぞ』となむ男に問ひける」
[訳] 「あれはなんだ」と男にたずねた。
②
あの人。その者。▽他称の人称代名詞。
出典源氏物語 桐壺
「かれは…御志あやにくなりしぞかし」
[訳] あの人(=桐壺更衣(きりつぼのこうい))は…(帝(みかど)の)ご愛情が大変深かったのであったよ。
注意
(1)古文では現代語にない①の用法で用いられることが多い。(2)②は現代語「彼」に近い用法だが、古文では女に対しても用いる。
かれ 【故】
①
それゆえ。それで。
出典古事記 神武
「その御手の血を洗ひ給(たま)ひき。かれ、血沼(ちぬ)の海といふ」
[訳] そのお手の血をお洗いになった。それで、(そこを)血沼の海という。
②
そして。それから。さて。
出典古事記 神武
「かれ、その国より上りいでましし時に」
[訳] そして、その国からのぼっておいでになったときに。◆副詞「か」と動詞「あり」の已然形からなる「かあれ」の変化した語。上代語。
かれ 【離れ】
動詞「かる」の未然形・連用形。
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