学研全訳古語辞典 |
か・る
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
(一)
【涸る・乾る】(水が)干上がる。
出典万葉集 三七八八
「水はかれなむ」
[訳] 水は干上がってほしい。
(二)
【枯る】
①
(植物が)枯れる。
出典枕草子 すぎにしかた恋しきもの
「すぎにしかた恋しきもの、かれたる葵(あふひ)」
[訳] 過ぎ去ったころが恋しいもの、枯れたあおい(=賀茂(かも)の祭りで飾ったあおい)。
②
(動物が死んで)ひからびる。
出典枕草子 花の木ならぬは
「虫などのかれたるに似て」
[訳] 虫などが(死んで)ひからびたのに似て。
(三)
【嗄る】(声が)かすれる。
出典源氏物語 帚木
「かれたる声のをかしきにて言へば」
[訳] かわいいかすれている声で言うと。
か・る 【駆る・駈る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
追い立てる。
出典枕草子 うへにさぶらふ御猫は
「集まり、かりさわぐ」
[訳] (男たちが)集まって、(犬の翁丸(おきなまろ)を)追い立てわいわい騒ぐ。
②
(馬や車を)駆けさせる。走らせる。
③
無理にさせる。せきたてる。
出典平家物語 四・源氏揃
「公事(くじ)・雑事(ざふじ)にかりたてられて」
[訳] 労役や雑務にせきたてられて。
軽み
分類文芸
蕉風俳諧(しようふうはいかい)の美的理念の一つ。日常の身近な題材によって物事の本質に深く迫りながら、表現上はさらりとしてこだわるところのない詩境をいう。芭蕉(ばしよう)が晩年になって到達した、悟りに似た境地で、「俳諧七部集」の『炭俵(すみだわら)』はこの句風の代表的撰集(せんしゆう)。「秋深き隣は何をする人ぞ―芭蕉」(『笈日記』)〈⇒あきふかき…。〉は軽みを表した代表句。
か・る 【狩る・猟る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
狩りをする。
出典伊勢物語 八二
「交野(かたの)をかりて」
[訳] 交野で狩りをして。
②
(花や草木を)たずね求めて観賞する。
出典方丈記
「桜をかり、紅葉を求め」
[訳] 桜をたずね求めて観賞し、紅葉を求め。
か・る 【刈る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
草などを切り取る。
軽
分類地名
今の奈良県橿原(かしはら)市大軽町一帯の地。上代、市(いち)が立って栄えた。
か・る 【借る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
借りる。借用する。
出典方丈記
「いかが他の力をかるべき」
[訳] なんで他人の力を借りてよいであろうか、よくはない。
か・る 【離る】
{語幹〈か〉}
①
遠ざかる。離れる。
出典源氏物語 若紫
「年ごろの蓬生(よもぎふ)をかれなむも」
[訳] 長年住み慣れたこの荒れた屋敷を離れてしまうのも。
②
間(ま)があく。途絶える。
出典古今集 冬
「山里は冬ぞさびしさまさりける人めも草もかれぬと思へば」
[訳] ⇒やまざとは…。
③
疎遠になる。離れる。
出典伊勢物語 二四
「相思はでかれぬる人をとどめかね」
[訳] ⇒あひおもはで…。
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