学研全訳古語辞典 |
と-て
《接続》体言や体言に準ずる語、引用句などに付く。
①
〔引用〕…と言って。…と思って。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「『子となり給(たま)ふべき人なめり』とて、手にうち入れて家へ持ちて来(き)ぬ」
[訳] 「(あなたは私の)子供とおなりになるはずの方であるようだ」と言って、手のひらにひょいと入れて家へ持ってきた。
②
〔動機・目的〕…と思って。…して。…ということで。
出典土佐日記 一二・二一
「男もすなる日記(にき)といふものを、女もしてみむとてするなり」
[訳] 男も書くという日記というものを、女(である私)も書いてみようと思って書くのである。
③
〔事物の名を示す〕…という名で。…といって。
出典徒然草 六〇
「真乗院に、盛親僧都(じやうしんそうづ)とて、やんごとなき智者ありけり」
[訳] 真乗院に、盛親僧都という名で、並々でない高徳の僧がいた。
④
〔原因・理由〕…だからといって。▽下に打消や反語の表現を伴って、逆接の関係で下に続く。
出典拾遺集 雑春
「東風(こち)吹かば匂(にほ)ひおこせよ梅の花主(あるじ)なしとて春を忘るな」
[訳] ⇒こちふかば…。
参考
格助詞「と」に接続助詞「て」が付いて一語化したもの。
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