学研全訳古語辞典 |
はた-と
①
ぱしっと。どんと。▽ものとものとがぶつかり合う音の形容。また、勢いよく打ったり切ったりなどする音の形容。
出典平家物語 四・鵼
「手ごたへしてはたとあたる」
[訳] (矢が)命中したという感じがしてぱしっと当たる。
②
きっと。▽目を据えてにらみつけるさま。
出典平家物語 九・越中前司最期
「馳(は)せ来る敵(かたき)をはたとまもって」
[訳] 駆け寄ってくる敵をきっとにらみつけて。
③
急に。突然。ぐっと。
出典徒然草 一三五
「大納言入道、はたと詰まりて」
[訳] 大納言入道はぐっと言葉につかえて。
④
まったく。すっかり。
出典風姿花伝 一
「易(やす)かりし時分の移りに、手だてはたと変はりぬれば」
[訳] (能が)やすやすとやれた時期に比べて、手段がすっかり変わってしまったので。
⑤
びっしりと。しっかりと。
出典平家物語 五・富士川
「およそ八日九日の道にはたと続いて」
[訳] 約八日か九日かかる道筋にびっしりと続いて。◆「はったと」とも。
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