学研全訳古語辞典 |
おぼさ-・る 【思さる】
分類連語
①
〔「る」が自発の意の場合〕自然お思いにならずにはいられない。
出典源氏物語 桐壺
「せむかたなく悲しうおぼさるるに」
[訳] (帝(みかど)は)どうしようもなく悲しくお思いにならずにはいられないので。
②
〔「る」が可能の意の場合〕お思いになることができる。
出典源氏物語 夕顔
「かばかりのすさびにても過ぎぬべきことを、さらにて過ぐしてむとおぼされず」
[訳] (夕顔とのことは)それだけの気まぐれとしても終えてしまえることを、とてもそのままですませてしまおうと(源氏は)お思いになることができない。
③
〔「る」が尊敬の意の場合〕お思いになる。思っていらっしゃる。
出典更級日記 竹芝寺
「いみじうゆかしくおぼされければ」
[訳] (帝(みかど)の姫君は)たいそう知りたくお思いになったので。
参考
中古では大半が①の用法。②は、下に打消の表現がくる。③は中古末期からの用法で、敬意が薄れてふつうの敬語表現として、中世以降に多く用いられた。
なりたち
四段動詞「おぼす」の未然形+自発・可能・尊敬の助動詞「る」
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