学研全訳古語辞典 |
よそ・ふ 【寄そふ・比ふ】
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
①
くらべる。引き寄せてくらべる。たとえる。
出典源氏物語 桐壺
「花・鳥の色にも音(ね)にもよそふべき方(かた)ぞなき」
[訳] (桐壺更衣(きりつぼのこうい)の美しさは)花の色にも、鳥の声にもくらべられる方法がない。
②
関係づける。かこつける。ことよせる。
出典古今集 恋三
「思ふどちひとりひとりが恋ひ死なば誰(たれ)によそへて藤衣(ふぢごろも)着む」
[訳] ひそかに思い合っている私たち二人のうち、どちらか一人が恋い焦がれて死んだなら、(忍ぶ仲なので)いったいだれの死にかこつけて喪服を着ようか。
参考
「よそふ」と「なずらふ」の違い 「よそふ」に似た意味の言葉として「なずらふ」があるが、「よそふ」が、あるものにほかのものを寄せて関係づけるという意味を表すのに対して、「なずらふ」は、あるものとほかのものとを同じものとして見るという意味を表す。
たぐ・ふ 【類ふ・比ふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
①
一緒になる。寄り添う。連れ添う。
出典枕草子 内裏の局
「冬は雪・霰(あられ)などの、風にたぐひて降り入りたるも、いとをかし」
[訳] 冬は雪や霰などが、吹く風と一緒になって降り込んでくるのもとても面白い。
②
似合う。釣り合う。
出典源氏物語 行幸
「はかばかしう選ばせ給(たま)はむたづねに、たぐふべき人なむなき」
[訳] りっぱな人物をお選びなさろうという求めに、似合うはずの人が見つからない。
{語幹〈たぐ〉}
①
寄り添わせる。連れ添わせる。
出典古今集 離別
「思へども身をし分けねば目に見えぬ心を君にたぐへてぞやる」
[訳] (あなたのことを)深く思っても、身を二つに分けることはできないので、目に見えない私の心をあなたに寄り添わせて行かせるのである。
②
まねる。なぞらえる。
出典白楽天 謡曲
「鳥類・畜類の、人にたぐへて歌を詠む」
[訳] 鳥類・獣類が、人にまねて歌を詠む。
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