学研全訳古語辞典 |
こま-やか・なり 【細やかなり・濃やかなり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
繊細で美しい。きめこまやかだ。こまごましている。
出典枕草子 御前にて人々とも
「高麗端(かうらいばし)の、席(むしろ)青うこまやかに厚きが」
[訳] 高麗縁(こうらいべり)の畳で、むしろが青くて編み目がきめこまやかで厚いのが。
②
心がこもっている。懇切丁寧だ。
出典源氏物語 桐壺
「今はなほ、昔のかたみになずらへてものし給(たま)へなど、こまやかに書かせ給へり」
[訳] 今はやはり、(若宮を桐壺更衣(きりつぼのこうい)の)形見と思って参内なさいなどと、懇切丁寧にお書きになっている。
③
精細だ。綿密だ。
出典徒然草 一四一
「聖教(しやうげう)のこまやかなる理(ことわり)」
[訳] 仏典の精細な道理。
④
色が濃い。染色がきめこまかく、深みがある。
出典源氏物語 若紫
「鈍色(にびいろ)のこまやかなるが、うちなえたるどもを着て」
[訳] ねずみ色の色が濃いので、着なれてなよなよとなったものを着て。
参考
「こまやかなり」と「こまかなり」の違い 「こまやかなり」は人間関係の親密さや色の濃さを表すときに用い、「こまかなり」は見た目の繊細さを表すときに用いられる。
ささ-やか・なり 【細やかなり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
こぢんまりしている。
出典源氏物語 花散里
「ささやかなる家の」
[訳] こぢんまりした家の。
②
小柄だ。
出典紫式部日記 寛弘六・一・一~三
「いとささやかに、小さしといふべきかたなる人の」
[訳] たいそう小柄で、むしろ小さいといってもよいほうの人で。◆「やか」は接尾語。後には「さざやかなり」とも。
ほそ-やか・なり 【細やかなり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
ほっそりしている。弱々しい。
出典枕草子 ものへ行く路に
「きよげなる男(をのこ)ほそやかなるが」
[訳] きれいな男で、ほっそりしているのが。◆「やか」は接尾語。
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