学研全訳古語辞典 |
たまゆらの…
分類和歌
「たまゆらの露も涙もとどまらず亡き人恋ふる宿の秋風」
出典新古今集 哀傷・藤原定家(ふぢはらのさだいへ)
[訳] 玉のような草木の露も私の涙も、ほんのしばらくの間もとどまらないでこぼれ落ちる。亡き人を恋い慕う、この家に吹く秋風のために。
鑑賞
作者の母が死んだ年の秋に、生前住んでいた家を訪ねて詠んだ歌。「秋風」は、亡き人を悼(いた)む悲しみに重なり、ものさびしい風の音が深い悲しみを表す。「たまゆらの」は「ほんのしばらくの間」と「玉のような」の意をかけている。「玉」は「露」「涙」の縁語になる。
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