学研全訳古語辞典 |
あぢき-な・し
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
思うようにならない。
出典続後撰集 雑中
「人もをし人も恨(うら)めしあぢきなく世を思ふゆゑに物思ふ身は」
[訳] ⇒ひともをし…。
②
つまらない。努力のかいがない。
出典方丈記
「さしも危ふき京中の家を造るとて、宝を費やし、心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞ侍(はべ)る」
[訳] あんなにも危険な都の中に家を造るからといって、財産を使って減らし、神経を悩ますことは、まことにつまらないことでございます。
③
にがにがしい。道理に合わない。
出典源氏物語 桐壺
「やうやう天の下にもあぢきなう、人のもて悩みぐさになりて」
[訳] しだいに世間でもにがにがしく、人の悩みの種となって。◇「あぢきなう」はウ音便。
④
はかない。世が無常だ。
出典源氏物語 橋姫
「この世の、かりそめにあぢきなきことを、申し知らすれば」
[訳] この世の中が、はかなく無常であることを、わかるようにお話しすると。◆「あづきなし」の変化した語。
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