学研全訳古語辞典 |
ほとけはつねにいませども…
分類歌謡
「仏は常にいませどもうつつならぬぞあはれなる人の音せぬ暁にほのかに夢に見え給(たま)ふ」
出典梁塵秘抄 法文歌
[訳] 仏は常にいらっしゃるけれど、俗世に住む我々には現実にそのお姿を見ることができないことが、しみじみと尊いことだ。人の寝静まった物音のしない夜明けごろに、かすかに夢の中にそのお姿をお現しになることだ。
鑑賞
常住不滅でありながら現実に見えぬ仏への敬虔(けいけん)な心情を表し、一方では、現実に仏に対することのできない嘆きも含んでいる歌。平明で素直な表現と、柔らかくよどみのない韻律が仏の尊さと幽遠さを感じさせる。
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