学研全訳古語辞典 |
もの-から
《接続》活用語の連体形に付く。
①
〔逆接の確定条件〕…のに。…けれども。…ものの。
出典徒然草 一
「いたましうするものから、下戸(げこ)ならぬこそ、男(をのこ)はよけれ」
[訳] (酒をすすめられては)つらいようにするものの、(実は)飲めないわけではないのが、男としては望ましい。
②
〔順接の確定条件〕…ので。…だから。
出典奥の細道 末の松山
「さすがに辺土(へんど)の遺風忘れざるものから、殊勝に覚えらる」
[訳] そうは言ってもやはり田舎らしく伝統を忘れないで今に伝えているので、奇特なことよと感心せずにはいられなかった。
参考
形式名詞「もの」に格助詞「から」が付いて一語化したもの。②は、原因・理由を表す接続助詞「から」と混同して生じた中世以降の用法。近世になると②の用法の方が一般的になる。
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