学研全訳古語辞典 |
かうぶり 【冠】
①
かんむり。
出典源氏物語 紅葉賀
「しどけなき姿にて、かうぶりなどうちゆがめて走らむ後ろ手」
[訳] だらしのない格好で、冠なども曲がったようすで走るような後ろ姿。
②
元服。加冠。元服して初めて冠をかぶること。初冠(うひかうぶり)。
出典宇津保物語 俊蔭
「十六といふ年二月に、かうぶりせさせ給(たま)ひて、名をば仲忠(なかただ)といふ」
[訳] 十六歳の二月に、元服をなさって、名を仲忠という。
③
位階。▽位に相当する朝服(=朝廷に出仕するときに着る服)と同じ色の冠を賜ることから。
出典枕草子 蟻通の明神
「さらに官(つかさ)もかうぶりも賜らじ」
[訳] 官職も位階もまったくいただくつもりはない。
④
五位に叙せられること。叙爵(じよしやく)。▽五位になると初めて冠をかぶることを許されることから。
出典源氏物語 少女
「秋の司召(つかさめ)しに、かうぶり得て侍従になり給ひぬ」
[訳] 秋の任命式に、五位の位を得て、侍従におなりになった。◆「かがふり」の変化した語。
かがふり 【冠】
「かうぶり」に同じ。◆上代語。
かぶり 【冠】
①
「かうぶり①」に同じ。
②
「かうぶり②」に同じ。
出典栄花物語 月の宴
「男君だちのかぶりなどし給(たま)へるも」
[訳] ご子息たちの、元服などなさった方も。◆「かうぶり」の変化した語。
かむり 【冠】
①
かんむり。
②
(和歌・俳諧(はいかい)などの)初めの五文字。◆「かんむり」の変化した語。
かんむり 【冠】
①
頭にかぶるものの総称。
②
正装のときに頭にかぶるもの。位階や時代によりいろいろな形がある。
③
俳句の最初の五文字。◆「かうぶり」の変化した語。
こうぶり 【冠】
⇒かうぶり
カン 【官・冠・巻・貫・萱・款・寛・勧・関・管・還・観・灌】
⇒くゎん
冠のページへのリンク |