学研全訳古語辞典 |
ひさ・し 【久し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
長い。▽期間や、時間についていう。
出典平家物語 一・祇園精舎
「おごれる人もひさしからず、ただ春の夜の夢のごとし」
[訳] 思い上がりわがままに振る舞っている人も長くは続かず、ちょうど春の夜に見る夢のよう(にはかないもの)だ。
②
時間がかかる。
出典枕草子 にくきもの
「例あるところにはなくて、ほかに尋ねありくほどいと待ち遠にひさしきに」
[訳] (修験者は)いつもいるところにいなくて、(使いの者が)ほかを尋ねて歩く間、本当に待ち遠しく時間がかかるが。
③
久しぶりだ。
出典磁石 狂言
「そなたは最前から『ひさしい、ひさしい』とおっしゃるが、身どもは知る人ではおりないぞや」
[訳] あなたはさっきから「久しぶりだ、久しぶりだ」とおっしゃるが、私は知人ではないよ。◇「ひさしい」は口語。
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