学研全訳古語辞典 |
おほき・なり 【大きなり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
大きい。心が広い。
出典枕草子 木の花は
「桜は、花びらおほきに、葉の色濃きが」
[訳] 桜は、花びらが大きく、葉の色の濃いのが。
②
程度が甚だしい。ひどい。
出典大鏡 師輔
「いとどおほきに腹立たせ給(たま)ひて」
[訳] たいそう甚だしくお腹立ちになって。
語の歴史
形容詞「おほし」は、奈良時代には数量が多い意と、面積・容積が大きい意を表したが(後者は連体形「おほき」のみ)、平安時代に入ると、数量が多い意だけとなり、大きいの意は、「おほき」を語幹として生じた形容動詞「大きなり」が表すようになった。これはふつう連用形「大きに」、連体形「大きなる」が用いられる。やがて、室町時代末ごろには、「大きなり」に代わって形容詞「大きい」が成立し、連用形「大きに」は副詞として(さらに「大いに」に転ずる)、連体形「大きなる」は、「大きな」「大いなる」に転じて連体詞として用いられるようになる。
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