学研全訳古語辞典 |
ぬる・し 【温し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
ぬるい。なまあたたかい。
出典枕草子 春はあけぼの
「昼になりて、ぬるくゆるびもていけば」
[訳] 昼になって、だんだんなまあたたかく、(寒さが)やわらいでいくと。
②
ゆるやかである。
出典日本書紀 神代上
「下(しも)つ瀬はこれ太(はなは)だぬるし」
[訳] 下流はこれは(流れが)たいへんゆるやかである。
③
鈍い。のろい。おっとりしている。
出典源氏物語 若菜下
「心のいとぬるきぞくやしきや」
[訳] (自分の)心がたいそう鈍かったのが残念なことよ。
④
熱心でない。情が薄い。冷淡である。
出典源氏物語 若菜上
「うちうちの御心ざしぬるきやうにはありけれ」
[訳] 内々での(源氏の)御愛情が冷淡なようであった。
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