学研全訳古語辞典 |
め
推量の助動詞「む」の已然形。
め 【女】
①
女(おんな)。女性。
出典万葉集 一七五三
「男(を)の神も許し賜(たま)ひめの神も幸(ちは)ひ給(たま)ひて」
[訳] 男の神もお許しになり、女の神もお恵みになって。
②
妻(つま)。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「めの嫗(おうな)にあづけて養はす」
[訳] 妻である老女にあずけて育てさせる。◇「妻」とも書く。
③
(主に、動物の)めす。◇「牝」「雌」とも書く。[反対語]①~③男(を)。
-め 【奴】
①
人を卑しめののしる意を表す。「法師め」。
②
自分や自分の身内などを卑下する意を表す。「私め」
め 【海布・海藻】
わかめ・あらめ・みるめなど、食用となる海藻の総称。
め 【目・眼】
①
目。
出典奥の細道 旅立
「行く春や鳥啼(な)き魚(うを)のめは涙―芭蕉」
[訳] ⇒ゆくはるやとりなきうをの…。
②
会うこと。見ること。
出典万葉集 二九一一
「ひとめ多みめこそ忍ぶれ」
[訳] 人目が多いので、会うことは我慢しているけれど。
③
視線。まなざし。
出典源氏物語 夕顔
「人にめも見合はせ給(たま)はず」
[訳] 人と視線をお合わせにならないで。
④
(見る対象である)顔。姿。
出典万葉集 七六六
「路(みち)遠み来(こ)じとは知れるものからに然(しか)そ待つらむ君がめを欲(ほ)り」
[訳] 道が遠いので(あなたは)来ないだろうと知ってはいるが、そのようにして(家の外へ出て)待っているだろう、あなたの顔が見たくて。
⑤
(出会う)事態。▽多くよくない経験の場合に用いる。
出典伊勢物語 九
「もの心細く、すずろなるめを見ることと思ふに」
[訳] なんとなく心細く、思いがけない(ひどい)事態にであうことよと思っていると。
⑥
すきま。合わせ目。継ぎ目。編み目。
出典枕草子 雪は檜皮葺
「いと多うも降らぬが、瓦(かはら)のめごとに入りて」
[訳] それほど多くも降らない(雪)が、瓦と瓦の合わせ目ごとに入って。
⑦
点。穴。目。
出典万葉集 三八二七
「一二(ひとふた)のめのみにあらず五(いつつ)六(むつ)三(みつ)四(よつ)さへあり双六(すごろく)の采(さえ)」
[訳] 一、二の目ばかりでなく、五、六、三、四の目まであるよ。双六のさいころは。
-め 【目】
①
…番目。▽ものの順序を示す。「二番め」
②
もんめ。一貫(かん)(=三・七五キログラム)の千分の一の単位。江戸時代以降の尺貫法の単位。
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