学研全訳古語辞典 |
あて・なり 【貴なり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
高貴だ。身分・家柄が高い。
出典竹取物語 貴公子たちの求婚
「世界の男(をのこ)、あてなるもいやしきも、いかでこのかぐや姫を、得てしがな、見てしがなと」
[訳] 世の中の男は、身分が高い者も低い者も、どうにかしてこのかぐや姫を、手に入れたいものだなあ、結婚したいものだなあと。
②
上品だ。優美だ。
出典枕草子 ふと心おとりとかするものは
「ただ文字一つに、あやしう、あてにもいやしうもなるは、いかなるにかあらむ」
[訳] ほんの言葉遣い一つで、上品にも下品にもなるというのは、どういうわけであろうか。
参考
「あてなり」と「やむごとなし」「けたかし」との違い 「あてなり」「けたかし」は「やむごとなし」ほどには最高の血筋や身分を表さず、皇子や権力者には用いない。「あてなり」が親しみやすい感じをもつのに対し、「けたかし」の方は、近寄りがたい感じをもつ。また、同系の語「あてはかなり」「あてやかなり」は人柄や容姿についての上品さをいうが、身分や家柄を表すことはない。
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