おした・つ

学研全訳古語辞典

おし－た・つ 【押し立つ】

[一]自動詞タ行四段活用

活用 ｛た／ち／つ／つ／て／て｝

① しっかりと立つ。立ちはだかる。

出典 沙石集 二

「不動、火炎の前におしたち」

[訳] 不動明王は、火炎の前に立ちはだかり。

② 強引に振る舞う。我を張る。

出典 源氏物語 桐壺

「いとおしたち、かどかどしきところ物し給（たま）ふ」

[訳] たいそう我を張り、とげとげしいところがおありになる。

[二]他動詞タ行下二段活用

活用 ｛て／て／つ／つる／つれ／てよ｝

① しっかりと立てる。押し立てる。

② しっかりと閉める。

出典 源氏物語 花宴

「戸はおしたてつ」

[訳] 戸はしっかりと閉めてしまった。

③ 無理にでもさせる。

出典 落窪物語 二

「さやうなる人のおしたててのたまはば」

[訳] そのような人が無理におっしゃるのならば。