学研全訳古語辞典 |
し
四段活用型の尊敬の助動詞「す」の連用形。
し
《接続》体言、活用語の連用形・連体形、副詞、助詞などに付く。〔強意〕
出典万葉集 八九二
「雪降る夜よはすべもなく寒くしあれば」
[訳] ⇒かぜまじり…。
出典古今集 羇旅・伊勢物語九
「名にし負はばいざ言問(ことと)はむ」
[訳] ⇒なにしおはばいざこととはむ…。
参考
「係助詞」「間投助詞」とする説もある。中古以降は、「しも」「しぞ」「しか」「しこそ」など係助詞を伴った形で用いられることが多くなり、現代では「ただし」「必ずしも」「果てしない」など、慣用化した語の中で用いられる。
し
サ変動詞「す」の連用形。
し
過去の助動詞「き」の連体形。
し 【其】
〔常に格助詞「が」を伴って「しが」の形で用いて〕
①
それ。▽中称の指示代名詞。
出典万葉集 四二五四
「秋の花しが色々に見(め)したまひ」
[訳] 秋の花、それを色さまざまにご覧になり。
②
おまえ。なんじ。▽対称の人称代名詞。
出典万葉集 九〇四
「愛(うつく)しくしが語らへば」
[訳] かわいらしくおまえが語るので。
③
おのれ。自分。▽反照代名詞(=実体そのものをさす代名詞)。
出典万葉集 四〇九四
「老人(おいひと)も女童(をみなわらは)もしが願ふ心足(だ)らひに」
[訳] 老人も女の子も自分が願う心が満足するように。
し 【史】
①
神祇(じんぎ)官の「主典(さくわん)」。大史・小史各一人。文書をつかさどる。
②
太政(だいじよう)官の「主典」。左右に大史・小史各二人。計八人なので「八史」ともいう。文書をつかさどり、諸司・諸国の庶務をとりあつかう。
-し 【師】
ある技術の専門家である意を表す。「薬師(くすし)」「絵師」
し 【司】
律令制で、「省(しやう)」に属し、「寮(れう)」に次ぐ役所。「主水司(もひとりのつかさ)」「主膳司(かしはでのつかさ)」など。
し 【士】
①
男子。
出典枕草子 職の御曹司の西面の
「しは己を知る者のために死ぬ」
[訳] 男子は自分をよく理解してくれる人のために死ぬ。
②
学徳の備わったりっぱな人。
出典徒然草 一四三
「博学のしもはかるべからず」
[訳] 学徳の備わったりっぱな人も(臨終について)推測することはできそうにない。
③
武士。
し 【子】
あなた。きみ。▽対称の人称代名詞。◆漢文的表現で用いる。
し 【師】
先生。師匠。指導者。
-し 【子】
①
姓の下に付けて、尊敬の意を表す。「孔子」「孟(まう)子」。
②
男性の名の下に付けて、親愛、または軽い尊敬を表す。「橿木堂(きやうぼくだう)主人荷兮(かけい)子」。
③
手紙などで自分の名の下に付けて、謙譲の意を表す。「以上芭蕉(ばせう)子」
し 【詩】
漢詩。⇒詩
分類文芸
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