学研全訳古語辞典 |
すさ・ぶ 【荒ぶ・遊ぶ】
活用{び/び/ぶ/ぶる/ぶれ/びよ}
活用{ば/び/ぶ/ぶ/べ/べ}
①
慰み楽しむ。気の向くままに…する。慰みに…する。
出典源氏物語 澪標
「箏(さう)の御琴引き寄せて、かき合はせすさび給(たま)ひて」
[訳] (源氏は)箏(そう)のお琴を引き寄せて、調子を整え、気の向くままに弾きなさって。
②
盛んに…する。ほしいままに…する。さかる。
出典万葉集 二二八一
「朝露に咲きすさびたるつき草の」
[訳] 朝露に盛んに咲いている露草が。
③
衰えてやむ。
出典新古今集 恋四
「思ひかねうち寝(ぬ)る宵もありなまし吹きだにすさべ庭の松風」
[訳] 待つ思いの苦しさに耐えかねて寝てしまう宵もきっとあろう。せめて(眠りを妨げないように)吹き衰えてくれ、庭の松風よ。
語の歴史
平安時代までは、四段・上二段の例が見えるが、平安時代末期以後、四段活用が中心となり、一般的には使われなくなる。意味も、古くは、「気の向くままに行動する」意であったが、その意味の一部分である「荒れる」が特に強く意識されるようになり、現代語では、「風吹きすさぶ」のようにその意だけで使われている。なお、バ行音・マ行音は音が近いことから、「すさぶ」「すさむ」の両形が古くから併用された。
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