学研全訳古語辞典 |
そらさむみ…
分類和歌
「空寒み花にまがへて散る雪にすこし春ある心地こそすれ」
出典枕草子 二月つごもり頃に
[訳] 空が寒いので、まるで花に見間違えるように散って降る雪のために、少し春の気配が感じられるよ。
鑑賞
荒れ模様の二月末、雪が少し降っているときに、当時の歌壇の第一人者藤原公任(ふじわらのきんとう)から、清少納言のもとに「すこし春あるここちこそすれ」の下の句が送られてきた。それに上の句をつけて一首にした連歌。「すこし春ある」は、白居易(はくきよい)の詩句を踏まえたもの。清少納言のつけた上の句も、公任の引用した句の前にある言葉を踏まえている。遊びとはいえ当意即妙性と文学的教養を問われる場面で、清少納言は緊張するが、結果は大いに好評を博した。「空寒み」は形容詞の「寒し」の語幹に接尾語「み」が付いた形で、「空が寒いので」と訳す。「こそ」は強意の係助詞で、結びの「すれ」はサ変動詞「す」の已然(いぜん)形。
そらさむみのページへのリンク |