学研全訳古語辞典 |
ながら・ふ
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
(一)
【流らふ】流れ続ける。静かに降り続ける。
出典万葉集 八二
「ひさかたの(=枕詞(まくらことば))天(あめ)の時雨(しぐれ)のながらふ見れば」
[訳] 天から時雨が静かに降り続けるのを見ると。◇上代語。
(二)
【永らふ・長らふ・存らふ】
①
ずうっと続く。長続きする。
出典源氏物語 帚木
「ながらふべきものとしも思ひ給(たま)へざりしかど」
[訳] (その女との関係は)長続きするはずのものだとも思っておりませんでしたけれども。
②
長生きする。生きながらえる。
出典更級日記 夫の死
「わくらばの立ち出(い)でも絶えて、ながらふべき心地もせぬままに」
[訳] まれな外出もなくなって、長生きできそうな気持ちもしないものだから。
参考
下二段動詞の「流る」に反復継続の意を表す上代の助動詞「ふ」の付いたものかという。「ふ」は、ふつう四段動詞に付いて四段に活用するが、下二段動詞に付いて下二段に活用するのは異例のことである。なお、(一)と(二)をまったくの別語と見る説もある。
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