学研全訳古語辞典 |
ながら
《接続》動詞型活用の語の連用形、体言、副詞、形容詞・形容動詞の語幹などに付く。
①
〔状態の継続〕
(ア)
…のまま。…のままで。
出典更級日記 物語
「源氏の五十余巻、ひつに入りながら…得て帰る心地のうれしさぞいみじきや」
[訳] 『源氏物語』の五十余巻を、櫃(ひつ)に入ったままで、…もらって帰るときの気持ちのうれしさといったら、たいへんなものであるよ。
(イ)
そっくりそのまま。そのまま全部。
出典平家物語 三・足摺
「三人ながら島を出(い)でたりなんど聞こえば」
[訳] 三人がそっくりそのまま島を出たなどと都の方へ聞こえたならば。
②
〔二つの動作の並行〕…ながら。…つつ。
出典徒然草 六〇
「食ひながら文(ふみ)をも読みけり」
[訳] (親芋(おやいも)を)食べながら仏典の講読をした。
③
〔逆接〕…けれども。…のに。
出典伊勢物語 八四
「身はいやしながら、母なむ宮なりける」
[訳] (男の)身分は低いけれども、母君は皇女であった。
④
〔その本質・本性に基づくことを示す〕…そのままに。…としてまさに。
出典万葉集 八一三
「神ながら神さびいます」
[訳] 神そのままに神々しくいられる。
参考
接続助詞は活用する語に付くのが普通なので、名詞や形容詞・形容動詞の語幹に付く場合の「ながら」を副助詞または接尾語とする説もある。
長柄
分類地名
歌枕(うたまくら)。今の大阪市大淀(おおよど)区。新淀川(中津川)と淀川との分岐点に位置する。長柄の橋で有名。
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