学研全訳古語辞典 |
ね
打消の助動詞「ず」の已然形。
ね
《接続》活用語の未然形、および「な…そ」に付く。
①
〔他に対する願望〕…てほしい。…てくれ。
出典万葉集 一
「家聞かな告(の)らさね」
[訳] ⇒こもよ…。
②
〔「な…そね」の形で〕…てほしくない。…ないでほしい。
出典万葉集 二三三
「高円(たかまと)の野辺の秋萩(あきはぎ)な散りそね」
[訳] 高円山の野辺の秋萩よ、散らないでほしい。◆上代語。
ね
完了の助動詞「ぬ」の命令形。
-ね
人を表す語に付いて、親愛の気持ちを表す。「な(汝)ね」◆上代語。
-ね 【根】
名詞に直接、または格助詞「が」を介して付いて、そのものがしっかり大地についている意を表す。「岩ね」「岩がね」「垣ね」
ね 【峰・嶺】
山の頂。みね。「富士のね」
ね 【子】
①
「十二支(じふにし)」の第一。
②
時刻の名。午前零時。また、それを中心とする二時間。
③
方角の名。北。
ね 【音】
音。なき声。ひびき。▽情感のこもる、音楽的な音。(人や動物の)泣(鳴)き声や、楽器などの響く音。
出典枕草子 春はあけぼの
「日入りはてて、風の音(おと)、虫のねなど、はた言ふべきにもあらず」
[訳] 日がすっかり沈んでしまって、(耳に聞こえてくる)風の音や虫の鳴き声など(の趣のあることは)、さらにまた言うまでもない。
参考
「ね」と「おと」の違い 「ね」が人の心に響く音であるのに対して、「おと」は雑音的なものを含め、風や鐘の音など比較的大きい音をいう。
ね 【寝】
動詞「ぬ」の未然形・連用形。
ね 【根】
①
植物の根。根もと。
②
もと。根源。物事の始まるもととなる所。
出典徒然草 九
「まことに、愛着(あいぢやく)の道、そのね深く」
[訳] 本当に、男女の深く愛して執着をするという方面のことは、そのもとは深く。
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