学研全訳古語辞典 |
ぬ-・べし
分類連語
①
〔「べし」が推量の意の場合〕きっと…だろう。…てしまうにちがいない。
出典土佐日記 一二・二七
「潮満ちぬ。風も吹きぬべし」
[訳] 潮も満ちた。風もきっと吹くだろう。
②
〔「べし」が可能の意の場合〕…できるはずである。…できそうだ。
出典徒然草 四一
「殊に人多く立ちこみて、分け入(い)りぬべきやうもなし」
[訳] 特に人が多くて立て込んで、分け入ることのできそうなようすでもない。
③
〔「べし」が意志の意の場合〕…てしまうつもりである。きっと…しよう。…てしまおう。
出典更級日記 鏡のかげ
「我はかくて閉ぢこもりぬべきぞ」
[訳] 私はこうして(官職をやめたまま家に)閉じこもってしまうつもりだ。
④
〔「べし」が当然・義務の意の場合〕…てしまわなければならない。どうしても…なければならない。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「さらずまかりぬべければ、思(おぼ)し嘆かむが悲しきことを、この春より思ひ嘆き侍(はべ)るなり」
[訳] やむを得ず(月の世界へ)行ってしまわなければならないので、(あなた方が)お嘆きになるようなことが悲しい(という)ことを、(私は)この春から思い嘆いているのでございます。
注意
「ぬ」はこの場合、確述を表す。
なりたち
完了(確述)の助動詞「ぬ」の終止形+推量の助動詞「べし」
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