学研全訳古語辞典 |
ゆくほたる…
分類和歌
「ゆく蛍雲の上まで往(い)ぬべくは秋風吹くと雁(かり)に告げこせ」
出典後撰集 秋上・在原業平(ありはらのなりひら)・伊勢物語四五
[訳] 飛んで行く蛍よ。もし雲の上まで行くことができるなら、地上では秋風が吹くと天上の雁に伝えておくれ。
鑑賞
秋と、秋になって到来する雁を待ちこがれる歌。『伊勢(いせ)物語』では、ある男(=業平)を恋い焦がれて死んだ娘の魂を慰める歌となっている。その場合、北から渡って来る雁が、娘の魂を象徴している。「こせ」は希望を表す助動詞「こす」の命令形。
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