学研全訳古語辞典 |
ゆふぐれは…
分類和歌
「夕暮れは雲のはたてに物ぞ思ふ天(あま)つ空なる人を恋ふとて」
出典古今集 恋一・よみ人知らず
[訳] 夕暮れには、雲の果てを眺めて物思いをする。空のかなたの手の届かない人を恋い慕っているので。
鑑賞
身分違いの恋の断ち切れない気持ちを詠んだもの。なお、「はたて」を「旗手」と解し、雲が旗のようになびいているようすを物思いの乱れにたとえたとする説もある。
ゆふぐれは…
分類俳句
「夕暮れは鐘をちからや寺の秋」
出典去来抄 俳論・風国(ふうこく)
[訳] 寂しい秋の夕暮れ、折からの寺の晩鐘の音は、私を力づけてくれるかのように聞こえてくる。
鑑賞
『初蟬(はつせみ)』では初句「入(いり)あひの」。最初風国はこの句を、晩鐘のさびしからぬという意に作った。それに対して去来(きよらい)は、それは「一己(いつこ)の私(=自分一人の私情)」だと批判し、このように作り直したという。季語は「秋」。
ゆふぐれはのページへのリンク |