学研全訳古語辞典 |
ゆゆ-・し
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
おそれ多い。はばかられる。神聖だ。
出典万葉集 一九九
「かけまくもゆゆしきかも言はまくもあやにかしこき明日香(あすか)の真神(まかみ)の原に」
[訳] 心にかけて思うのもはばかられることよ、口に出して言うのもまことにおそれ多い明日香の真神の原に。
②
不吉だ。忌まわしい。縁起が悪い。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「たちいづる天の川辺のゆかしさに常はゆゆしきことも忘れぬ」
[訳] (牽牛(けんぎゆう)と織女が)出会う天の川辺に心が引かれて、いつもは不吉なことも(今日は)忘れてしまった。
③
甚だしい。ひととおりでない。ひどい。とんでもない。
出典徒然草 二三六
「おのおの拝みて、ゆゆしく信起こしたり」
[訳] 各人それぞれが拝んで甚だしく信仰心を起こした。
④
すばらしい。りっぱだ。
出典徒然草 一
「徒人(ただびと)も、舎人(とねり)など賜る際(きは)はゆゆしと見ゆ」
[訳] ふつうの貴族でも、随身などを(朝廷から)いただくような身分の人は、すばらしいと思われる。
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