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ゆふさればの意味

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学研全訳古語辞典

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ゆふされば…

分類和歌


「夕されば野辺の秋風身にしみて鶉(うづら)鳴くなり深草の里」


出典千載集 秋上・藤原俊成(ふぢはらのとしなり)


[訳] 夕方になると、野辺を吹く秋風が身にしみて感じられ、この深草の里では、うずらがもの寂しい声で鳴いているよ。


鑑賞

『伊勢(いせ)物語』百二十三段の世界に基づいて詠まれており、女を捨てて京へ行こうとした男に対して、深草の里の女が詠んだ歌「野とならば鶉となりて鳴きをらむかり(=「狩り」と「仮」とをかける)にだにやは君は来(こ)ざらむ」〈草深い野原になったら、(私は)うずらになって鳴いておりましょう。そうしたら、ほんのちょっとでも、狩りにくらいはあなたがおいでくださるでしょうから。〉を踏まえている。



ゆふされば…

分類和歌


出典百人一首 


「夕されば門田(かどた)の稲葉おとづれて蘆(あし)のまろ屋に秋風ぞ吹く」


出典金葉集 秋・源経信(みなもとのつねのぶ)


[訳] 夕方になると、門前の田の稲の葉にさやさやと音を立てて、蘆葺(あしぶ)きの粗末(そまつ)なこの仮小屋に、秋風が吹いてくるよ。



ゆふされば…

分類和歌


「夕されば野にも山にも立つけぶりなげきよりこそ燃えまさりけれ」


出典大鏡 時平・菅原道真(すがはらのみちざね)


[訳] 夕方になると、野にも山にも立ち上る煙よ。その煙は、私の不幸な運命を嘆き悲しむ、嘆きという木を添えるので、いよいよ燃えさかることだ。


鑑賞

無実の罪で筑紫(つくし)(福岡県)へ配流となった道真が、遠くの方に立つ煙を見て詠んだ歌。「嘆き」に「投げ木(=薪)」をかける。



ゆふされば…

分類和歌


「夕されば小倉(をぐら)の山に鳴く鹿(しか)は今夜(こよひ)は鳴かず寝(い)ねにけらしも」


出典万葉集 一五一一・舒明天皇(じよめいてんわう)


[訳] 夕方になるといつも小倉の山で鳴いている鹿は、今晩は鳴いていない。寝てしまったらしいなあ。


鑑賞

夕暮れにいつも聞こえる鹿の鳴き声が、今夜に限って聞こえないことへの不審の念を、思いやりの気持ちをこめて詠んでいる。この鹿の声は、牡鹿(おじか)の妻恋いの鳴き声であろう。








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