学研全訳古語辞典 |
は
《接続》体言、活用語の連用形・連体形、助詞など種々の語に付く。
①
〔主題・題目の提示〕…は。…については。▽体言や体言に準ずる語に付く。
出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
「その人のよみたる歌はいかに」
[訳] これこれの人が詠んだ歌はどんな歌か。
②
〔他と区別して取り立てる〕…は。
出典万葉集 一五一一
「夕されば小倉(をぐら)の山に鳴く鹿(しか)は今夜(こよひ)は鳴かず寝(い)ねにけらしも」
[訳] ⇒ゆふさればをぐらのやまに…。
③
〔強調〕…は。
出典平家物語 六・小督
「尋ぬる人の琴の音か、おぼつかなくは思へども」
[訳] 尋ね求めている人の琴の音かどうか、はっきりしないとは思うけれど。
④
〔順接の仮定条件〕…ならば。▽形容詞型活用の語および打消の助動詞「ず」の連用形に付く。
出典枕草子 大進生昌が家に
「古き進士(しんじ)などにはべらずは、承り知るべきにもはべらざりけり」
[訳] 年功を積んだ進士などでございませんでしたならば、わかりそうもないことでしたよ。
⑤
〔感動・詠嘆〕…なあ。…よ。▽文末にあって、体言、活用語の連体形、助詞「ぞ」「や」などに付く。
出典伊勢物語 一五
「さるさがなきえびす心を見ては、いかがはせむは」
[訳] このような見苦しい田舎の女の心を見たら、(都のみやびな男は)どうしようか、いや、どうしようもないよ。
語法
(1)格助詞「を」の下に付くときは濁音化して「をば」となる。⇒をば(2)能・狂言での発音 能・狂言では、t音の下にくるときは、「こんにちは(今日は)」↓「こんにった」のように、「た」と発音されることがある。
注意
「ずは」「くは」の形には③の場合と④の場合とがある。
参考
(1)文中にある「は」は、文を言い切る力が文末にかかっていって、文末の述語は終止形となる。このように、かかっていって文末に影響を与える働きがあるところから、「は」は係助詞とされる(「も」も同様である)。このときの結びは終止形で、普通の文の言い切りの形と同じである。(2)④の「は」は、近世になると、「くば」「ずば」と濁音化して用いられることもあった。(3)④の「は」を、形容詞型活用語および打消の助動詞「ず」の未然形に付いた接続助詞「ば」とする説や、係助詞から変化した接続助詞「は」とする説などもある。(4)⑤の「は」を、終助詞とする説もある。
は
反復継続の助動詞「ふ」の未然形。
は 【破】
雅楽・能楽の曲などで、一曲を構成する三つの部分「序」「破」「急」のうちの中間部分。しだいに拍子が変わり、速くなっていく部分。
は 【端】
はし。へり。ふち。
は 【羽】
鳥の羽毛・翼。また、飛ぶ虫のはね。
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