学研全訳古語辞典 |
やう 【様】
①
ようす。状態。姿。
出典源氏物語 須磨
「所につけたる御住まひ、やう変はりて」
[訳] この地にふさわしいお住まいは、(都とは)ようすが変わって。
②
様式。流儀。やりよう。
出典源氏物語 花宴
「はなばなと物し給(たま)ふ殿のやうにて」
[訳] 何事もはなやかになさる右大臣家の流儀で。
③
方法。手段。
出典竹取物語 蓬莱の玉の枝
「その山、見るに、さらに登るべきやうなし」
[訳] その山を見ると、いっこうに登ることができそうな方法がない。
④
事情。理由。わけ。
出典更級日記 初瀬
「さるべきやうありて、秋ごろ和泉(いづみ)に下るに」
[訳] しかるべき事情があって、秋ごろ和泉の国に下ると。
⑤
〔活用語の連体形を受け、形式名詞として〕…こと。(言う・思う)ことには。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「翁(おきな)、言ふやう、『われ、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となり給ふべき人なめり』」
[訳] 翁が言うことには、「私が毎朝毎晩見る竹の中にいらっしゃることでわかった。(私たちの)子におなりになるはずの人であるようだ」
-やう 【様】
①
〔名詞に付いて〕…風(ふう)。▽それらしく思われるものや、その様式のものの意を表す。
出典源氏物語 橋姫
「大きなる檜破子(ひわりご)やうのもの、あまたせさせ給(たま)ふ」
[訳] 大きな、檜(ひのき)で作った弁当箱風のものを、たくさん調えてお持たせになる。
②
〔活用語の連用形に付いて〕…の仕方。…の具合。▽方法や様態を表す。
出典徒然草 五五
「家のつくりやうは、夏をむねとすべし」
[訳] 家の造り方は、夏(に暮らしやすいこと)を主とするのがよい。
やう 【益】
「やく(益)」に同じ。◆「やく」のウ音便。
やう 【陽】
①
ひなた。日の照らす方。山の南面。河の北岸。
②
(易(えき)で)積極的、活動的な方面の象徴とする語。天・日・春・夏・東・南・火・男などをさす。[反対語] 陰(いん)。
やうのページへのリンク |