学研全訳古語辞典 |
おろ・す 【下ろす】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
低い位置に移す。おろす。
出典源氏物語 朝顔
「童(わらは)べおろして雪まろばしせさせ給(たま)ふ」
[訳] (源氏は)女童を庭におろして雪ころがしをおさせになる。
②
引き下げる。垂らす。
出典源氏物語 若紫
「『あないみじや。いとあやしきさまを人や見つらむ』とて簾(すだれ)おろしつ」
[訳] (尼君は)「まあ大変だこと。ひどく見苦しいさまを人が見てしまっているだろうか」といって、すだれを引き下げた。
③
(仏門にはいるため髪を)剃(そ)り落とす。おろす。
出典伊勢物語 八三
「思ひのほかに、御髪(みぐし)おろし給(たま)うてけり」
[訳] (親王は)思いがけなく髪を剃り落としなさって(=出家されて)しまった。
④
退出させる。
出典源氏物語 帚木
「皆、下屋(しもや)におろし侍(はべ)りぬるを」
[訳] 皆、母屋のうしろの建物に退出させてしまいましたが。
⑤
供え物や貴人の物などを下げわたす。おさがりをいただく。
出典更級日記 梅の立枝
「御前(おまへ)のをおろしたるとて」
[訳] 宮さまの(お持ちのもの)をいただいたのですと言って。
⑥
退位させる。
出典大鏡 師尹
「おしておろし奉らむこと、憚(はばか)り思(おぼ)し召しつるに」
[訳] (皇太子を)無理やりご退位させ申し上げるようなことを、(道長公は)ためらっておられたのに。
⑦
悪くいう。けなす。非難する。
出典源氏物語 少女
「あさましく咎(とが)め出(い)でつつおろす」
[訳] あきれるほど責めては非難する。
下ろすのページへのリンク |