学研全訳古語辞典 |
しう 【主】
「しゅう(主)」に同じ。
しゅう 【主】
自分が仕える人。主人。主君。
出典枕草子 ありがたきもの
「しゅうそしらぬ従者(ずさ)」
[訳] 主人をけなさないお供の者。◆「しゅ(主)」の変化した語。
ぬし 【主】
①
(ご)主人。あるじ。▽主従関係での、主人。従者から尊敬してもいう。
出典竹取物語 竜の頸の玉
「うたてあるぬしの御許(みもと)につかうまつりて」
[訳] 嘆かわしい主人の御もとにお仕え申し上げて。
②
主人。あるじ。▽一家の主人。
出典徒然草 二三五
「ぬしある家には」
[訳] 主人のいる家には。
③
お人。お方。…様。▽その人を軽い敬意や親しみをこめていう語。
出典今昔物語集 二八・四二
「や、あのぬし。盗人(ぬすびと)は早ういでて去(い)にけり」
[訳] もし、そのお方。盗人はとっくに出て行ってしまった。
④
所有者。持ち主。
出典今昔物語集 二五・一二
「馬のぬし、いなびがたくて、その馬を上せけるに」
[訳] (頼信の申し出を)馬の持ち主は、断りかねて、その馬を(都に)上らせることにしたときに。
⑤
夫。恋人である男。
出典源氏物語 夕顔
「いま一方(ひとかた)は、ぬし強くなるとも」
[訳] もうおひとりは、たとえはっきり夫がきまったところで。
⑥
山・川・池などに住みつき、不可思議な魔力を持つといわれる動物。
出典沙石集 七
「この沼のぬしに申す」
[訳] この沼に(住みついて)いるぬしに申し上げる。
⑦
(動作をする)本人。当人。
出典風姿花伝 一
「いったん勝つ時は、人も思ひ上げ、ぬしも上手と思ひ染むるなり」
[訳] 一度勝ったりすると、他人も実際より高く評価し、本人も(自分は)上手なのだと思い込んでしまうのだ。
あなた。▽対称の人称代名詞。軽い敬意を表す。
出典大鏡 序
「さても、ぬしの御名(みな)はいかにぞや」
[訳] ところで、あなたのお名前は何というのか。
主のページへのリンク |