学研全訳古語辞典 |
たてまつら-・す 【奉らす】
分類連語
(一)
〔「奉る」が謙譲語の場合〕
①
〔「す」が使役の意の場合〕差し上げさせる。
出典源氏物語 夕顔
「門(かど)あけて惟光(これみつ)の朝臣(あそん)出(い)で来たるして、たてまつらす」
[訳] 門をあけて、惟光の朝臣が出てきたのに、差し上げさせる。
②
〔使役の「す」が「奉る」の謙譲の意を補強する場合〕差し上げる。
出典枕草子 円融院の御はての年
「白き木に立て文(ぶみ)をつけて、『これたてまつらせむ』と言ひければ」
[訳] 白い木に立て文をつけて「これを差し上げ申し上げよう」と言ったので。
(二)
〔「奉る」が尊敬語の場合〕お召しいただく。
出典源氏物語 手習
「御前(おまへ)にはかかるをこそたてまつらすべけれ」
[訳] あの方にはこのようなのこそをお召しいただくべきだ。
注意
(一)では、
①
は「BがCを使って、Aに差し上げさせる」、
②
は「BがAに差し上げる」と理解しておこう。②は、「たてまつる」だけより敬意が強い。
なりたち
動詞「たてまつる」の未然形+使役の助動詞「す」
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