学研全訳古語辞典 |
そ・ふ 【添ふ・副ふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
①
付け加わる。さらに備わる。増す。
出典源氏物語 桐壺
「あさましううつくしげさそひ給(たま)へり」
[訳] (元服した源氏には)あきれるほどかわいらしさがさらに備わりなさった。
②
付き添う。付き従う。寄り添う。
出典枕草子 野分のまたの日こそ
「うらやましげに押し張りて、簾(す)にそひたる後ろ手もをかし」
[訳] うらやましそうにすだれを外に押しつけて、すだれに寄り添って(外をながめて)いる後ろ姿もおもしろい。
③
結婚する。夫婦になる。男女が連れ添う。
出典源氏物語 帚木
「あしくもよくも、あひそひて」
[訳] (男が)悪くてもよくても、夫婦になって。
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
〔「年(月・日)にそへて」の形で〕(…に)伴う。(…に)従う。
出典竹取物語 燕の子安貝
「人の聞き笑はむことを、日にそへて思ひ給(たま)ひければ」
[訳] (中納言は)世間の人が聞いて笑うだろうということを、日がたつに従ってお思いになったので。
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
①
つけ加える。つけ足す。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「壺(つぼ)の薬そへて、頭(とう)の中将呼び寄せて、奉らす」
[訳] (その手紙に)壺の薬をつけ加えて、(かぐや姫は)頭の中将を呼び寄せて(天皇に)献上させる。
②
なぞらえる。たとえる。
出典万葉集 一六四二
「たな霧(ぎ)らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代(しろ)にそへてだに見む」
[訳] 空一面に曇って雪が降ってくれないかなあ。梅の花が咲かないその代わりに、降る雪を梅の花にせめてなぞらえてでもみよう。
③
伴わせる。つき従わせる。
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