学研全訳古語辞典 |
あた・る 【当たる】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
ぶつかる。触れる。命中する。
出典古今集 物名
「楫(かぢ)にあたる波のしづくを」
[訳] 舟の櫂(かい)にぶつかる波のしずくを。
②
接する。
出典今昔物語集 三・一三
「その人のために、太子ねんごろにあたり給(たま)ふ事有れども」
[訳] その人のために、太子は心を込めて接しなさることがあるけれども。
③
思い当たる。
出典徒然草 四一
「折からの思ひかけぬ心地して胸にあたりけるにや」
[訳] ちょうどそのときの(私の言葉が)意外な気がして、(人々の)心に思い当たったのだろうか。
④
出会う。直面する。
出典源氏物語 須磨
「かく思ひかけぬ罪にあたり侍(はべ)るも」
[訳] このように思いがけない罪に直面しておりますのも。
⑤
道理にかなう。匹敵する。
出典徒然草 一九三
「暗き人の、人をはかりてその智を知れりと思はん、更にあたるべからず」
[訳] 愚かな人が他人を推測して、その知恵(の程度)をわかっていると思うのは、全く道理にかなうはずがない。
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