学研全訳古語辞典 |
もて-な・す 【持て成す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
物事をとり行う。処理する。取り計らう。
出典源氏物語 桐壺
「何事の儀式をも、もてなし給(たま)ひけれど」
[訳] どのような儀式をも、(ひけをとらずに)取り計らいなさったけれども。
②
身を処する。振る舞う。立ち回る。
出典源氏物語 須磨
「誇りかにもてなして、つれなきさまにし歩(あり)く」
[訳] (内心はわからないが表面的には)得意そうに振る舞って、なんでもないような顔で動き回る。
③
(人を)取り扱う。待遇する。応対する。世話する。
出典更級日記 子忍びの森
「我が身よりも高うもてなし、かしづきてみむとこそ思ひつれ」
[訳] (あなたを)私自身よりも高い身分の人のように取り扱い、大切に世話しようと思っていたのに。
④
珍重する。もてはやす。
出典徒然草 一一九
「鰹(かつを)といふ魚は、かの境には双(さう)なきものにて、このごろもてなすものなり」
[訳] かつおという魚は、あの地方(=鎌倉)では並ぶものがないものであって、このごろ珍重しているものである。
⑤
饗応(きようおう)する。ごちそうする。(客を)もてなす。
出典奥の細道 尾花沢
「長途(ちやうど)のいたはり、さまざまにもてなし侍(はべ)る」
[訳] 長旅の苦労のねぎらいとして、いろいろと(私たちに)ごちそうをし(てくれ)ます。◆「もて」は接頭語。
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