学研全訳古語辞典 |
も・つ 【持つ】
活用{た/ち/つ/つ/て/て}
①
持つ。所持する。所有する。
出典徒然草 九二
「初心の人、二つの矢をもつことなかれ」
[訳] (弓を)初めて習う人は、(弓を射る時に)二本の矢を持つことをするな。
②
ある状態を保つ。維持する。
出典徒然草 一八八
「思ひしやうに身をももたず」
[訳] 思ったように身を保つこともなく(=立身出世もせず)。
③
心に抱く。思う。
出典万葉集 三七二三
「あしひきの(=枕詞(まくらことば))山路越えむとする君を心にもちて安けくもなし」
[訳] (流罪になって)山路を越えようとしているあなたの姿を心に抱いて、心が安らかなことはありません。
④
使う。用いる。▽連用形で用いて。
出典万葉集 一六三八
「あをによし(=枕詞(まくらことば))奈良の山なる黒木もち造れる室(いへ)は座(ま)せど飽かぬかも」
[訳] 奈良の山にある皮のついた丸太を使って造ってある家は、いつまでおいでになっても飽きないことだよ。◇「座せ」は自敬表現。
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