学研全訳古語辞典 |
せ-・す 【施す】
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
物を与える。ほどこす。
出典源氏物語 若菜上
「かひなき身をば、熊(くま)、狼(おほかみ)にもせしはべりなむ」
[訳] (生きていても)かいのない身を、熊や狼(おおかみ)にでもほどこしてしまいましょう。
ほどこ・す 【施す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
(広く)行き渡らせる。広める。
出典宇津保物語 あて宮
「世界に名をほどこして」
[訳] 世の中に名を広めて。
②
付け加える。飾りつける。いろどる。
出典古今著聞集 六五八
「透き長櫃(ながびつ)に丹青(たんせい)をほどこして」
[訳] 透き長櫃(=すかしのある長櫃)に赤や青(の色)を付け加えて。
③
恵み与える。及ぼす。
出典平家物語 一・清水寺炎上
「人のために御情けをほどこさせましまさば」
[訳] 人のためにお情けを恵み与えていらっしゃるならば。
④
(他人のために)行う。用いる。
出典平家物語 六・紅葉
「仁徳の行(かう)をほどこさせまします事も」
[訳] 仁徳の行(=いつくしみの行い)を行っていらっしゃることも。
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