学研全訳古語辞典 |
され-ば 【然れば】
①
そうであるから。そうだから。それゆえ。だから。
出典徒然草 一四二
「妻子のためには、恥をも忘れ、盗みもしつべきことなり。されば、盗人をいましめ、ひがことをのみ罪せんよりは」
[訳] 妻子のためには、恥をも忘れ、盗みをもしてしまうにちがいないことである。だから、盗人を(捕らえて)縛り、悪事だけを処罰するようなのよりは。
②
そもそも。いったい(ぜんたい)。
出典平家物語 一・祇王
「こは、されば、何事さぶらふぞや」
[訳] これは、いったいぜんたい、何事でございますか。
③
さて。ところで。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「されば、世の中に借銭乞(しやくせんこ)ひに出会ふほど恐ろしきものはまたもなきに」
[訳] さて、世の中で借金取りに出会うほど恐ろしいものはほかにないのだが。
だからさ。そう。さよう。まったく。▽相手の質問に応じる語。
出典鑓権三 浄瑠・近松
「『権三殿は御存じないか』『されば、存じたとも申されず、存ぜぬとも申されぬ』」
[訳] 「権三殿はご存じないのか」「さよう、知っておりますとも申し上げられず、(また)知りませんとも申し上げられない」
しかれ-ば 【然れば】
①
そうであるから。だから。
出典宇治拾遺 一五・一二
「長くほめられ、長くそしられず。しかれば、わが好みに従ひ振る舞ふべきなり」
[訳] 長い間ほめられ、長い間けなされない。だから、自分の好きなように振る舞えるのだ。
②
さて。ところで。◆ラ変動詞「しかり」の已然形に接続助詞「ば」が付いて一語化したもの。
然ればのページへのリンク |